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美ら海・沖縄に基地はいらない!

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「抑止論」から脱却を 

 2010年3月12日
 「昨年までは外圧をかければ日本は同意するとの意見が国防総省を中心に強く、米国は強く出てきた。だが今は、それではうまくいかないと思っている」。アーミテージ元米国務副長官は2月、沖縄の米海兵隊普天間飛行場の移設問題について日本の与党国会議員にそう打ち明けた。「普天間の危険性は国防次官補だった1980年代から知っていたが、上司を動かせなかった。私にもっとエネルギーと勇気があれば…」と悔やんでさえいたという。
  別の与党議員の情報でも、米政府高官や有力議員は普天間をめぐる「日本の政治的現実」の重みを理解し始めている。現行案を言い続けたのは当初の外交戦術で、解決策を柔軟に探す方向に傾きつつある。

 だが日本政府は、県議会が県外移設を求める初の全会一致決議を出すなど爆発寸前とも見える「沖縄の政治的現実」を一切無視するかのように県内移設をなお探っている。他に移設先がないというより、政治家、官僚とも「沖縄の海兵隊は日本の安全保障に不可欠」という空論に縛られているからだ。
 長島昭久防衛政務官は1日「米側は歓迎されない所に軍を置かない。意外と逃げ足が早い」と警告を込めて指摘しつつ、抑止力維持に沖縄の米海兵隊は必要と強調した。

 確かにイタリアのサルデーニャ島では2004年に就任した知事が米海軍基地撤退を求めると、米軍は翌年あっさり同意。07年に左派政権が誕生したエクアドルでも昨年、米空軍基地が撤退した。「逃げ足が早い」との長島政務官の見識は的を射ているが、海兵隊が抑止力になるとの主張には疑問がある。
 海兵隊は相応の準備期間を経て敵地に展開するのが本来任務だ。空軍のような緊急的有事への即応力はほとんどない。特に沖縄の海兵隊の場合、展開には佐世保にいる揚陸艦の迎えを待たなければならない。沖縄かグアムか、あるいはハワイにいるかで目的地到達に数日の差は生じるが、現在の東アジアで事前に外交的挑発など何ら兆しもなく、軍事的侵攻が突発的に起きることなどあり得るだろうか。そもそも海兵隊が去っても日本には約80カ所の米軍関連施設が残るのだ。

 尖閣諸島をめぐる中国の動きを懸念する声もあるが、現在の日中両国の密接な経済関係を考えれば、「安保条約の適用範囲」と米国の後ろ盾を持ち出すまでもなく、2国間の協議で問題は解決できるはずだ。
 米海軍省が08年に公表した「グアム統合基本計画」、昨年公表したその「環境影響評価案」には、米軍が飛行場を含めた海兵隊の機能をグアムと北マリアナ諸島に集中させる方針が書かれている。移設先の最有力候補はやはりこの地域だろう。
 「抑止論」の側に立てば「ヘリ部隊と地上兵力は不可分」との米側の主張に必ず取り込まれる。そこから脱却しない限り、米国、沖縄とも受け入れ可能な解決策が出てくるとは思えない。(共同通信編集委員 石山永一郎)=琉球新報より
by juconetwork | 2010-03-13 22:35
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